最先端ロボット・AI技術で見える未来の物流
最先端ロボット・AI技術で見える未来の物流をご紹介いたします。まずロボットについて説明いたします。私たちが考える最先端ロボットは、AI(人口知能)を備え、センサーで情報を認識して判断を行い処理するロボットになるでしょう。
ロボットの分類は、JIS B 0134規格ではシーケンスロボット、プレイバックロボット、数値制御ロボット、知能ロボット、感覚制御ロボット、適応制御ロボット、学習制御ロボット、遠隔操縦ロボットに分類されます。
シーケンスロボット、プレイバックロボット、数値制御ロボットは、シーケンスやプログラミングや数値によって設定したタスクプログラムを順次実行したり、繰り返し実行できるロボットです。ロボットより機械に近い機能です。
感覚制御ロボット、適応制御ロボット、学習制御ロボットは、センサ情報などを用いて動作の制御や適応や学習を行うロボットです。知能ロボットは、人工知能によって行動を決定できるロボットです。
最先端ロボットになるものは、センサー技術が進化し、駆動系も向上し、柔軟な制御のプログラムを実現した感覚・適応・学習・人工知能を備えたロボットであることが想像できます。2015年のロボット市場1.5兆円です。今後どれくらいの成長が見込まれているのでしょうか。
2035年のロボット市場は9.7兆円
2015年に公開された政府「ロボット新戦略」では、2035年のロボット市場予測は9.7兆円です。現在1.5兆円のロボット市場は20年で、約7倍の市場へ拡大すると考えられています。
参考:政府「ロボット新戦略」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc241330.html
ロボットが普及する背景は、次の3つです。未来の物流への普及も同じ要因となるでしょう。
①センサー、人工知能(AI)技術、情報処理技術の向上
②急激な人口構造変化に伴う新たなニーズの高まり (医療・介護、労働力確保)
③情報通信ネットワークの整備
人工知能、ネットワークについて、どのような進化を辿るのでしょうか。
IOT、人工知能、ロボット、ネットワークの2015年から2030年までのロードマップ
総務省「人工知能・ロボット アドホックグループ 検討結果とりまとめ」に2015年から2030年までの人工知能(AI)技術やネットワークのロードマップがあります。2030年にはどのようなロボットが実現するのか説明します。
・IOTデータ統合管理
IOT(物がインターネットでつながること)データを統合管理する技術研究が進みます。2020年には、IOTの情報が統合管理されます。2030年までに監 視・予防・対策を迅速かつ効率的に行うスマートシティを実現します。
・自動翻訳
オリンピック開催を推進力として、翻訳技術の開発が進みます。2020年には、音声翻訳対話システムが社会的に実装されます。2030年には、同時に複数の異なる言葉で、自由に会話できる社会が実現できます。言葉の壁が無くなります。
・コンテンツ共通化
2020年度に完成された自動翻訳により、世界中のコンテンツが翻訳されます。2030年には、誰でも何所でも、どのような情報も自由にストレスなく利用できるインフラが完成します。
・情報解析とAI利用
社会における問題や情報を自動で検出する技術が開発されます。2020年にはプロトタイプが公開されます。AIを利用することにより、素人や子供でも専門家のように深い知識や判断を行うことが可能です。2030年にはロボットに機能が実装され対話での利用が実現します。
・自立型ロボット
三次元制御技術の研究開発が進み、2019年から実証実験が始まります。物流、介護、医療、インフラ、災害、建築分野に自立型ロボットが投入されます。自立型ロボットのデータも共有され、対話や理解など推論技術や、感情などのコミニケーション機能の実証実験も開始されます。2030年には、ロボットと人間が共存・共栄する未来社会が実現します。
・ネットワーク自動構築
ネットワーク構築制御用プログラミングモデルが2019年までに開発されます。ビッグデータ解析や人工知能等により、インフラ維持に必要なネットワークの自動構成技など完成します。人の介在しない情報伝達のセキュア情報流通技術も完成します。大容量の通信を可能にする技術も登場します。
2030年には、すべてが自動でセキュアにネットに接続され、ネットワーク自動で構築されます。同時に大容量の通信基盤となり、高付加価値・最適化社会を実現します。
AI技術を搭載した最先端ロボットのイメージが見えてきました。未来の物流では、どのような最先端ロボットが投入されるのでしょうか。
参考:総務省「人工知能・ロボット アドホックグループ 検討結果とりまとめ」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000357812.pdf
最先端ロボット・AI技術で見える未来の物流
2030年には、三次元制御技術の開発が進み、ロボットはあらゆる高度な動作になります。そしてすべてのロボットや構成する物体は、自動で構築されるネットワークでつながり、高度なセリュリティ技術でデータが共有されます。それらのすべての情報は情報解析され、AIにより適切に判断されます。
そのような世界を物流の視点で見ると、ラックもピッキングシステムも自動化倉庫も建物自体も一つのロボットとして統合されるでしょう。倉庫管理システム/在庫管理システム(WMS=Warehouse Management System)から、梱包資材までAIで管理されたロボットになります。ロボットとシステムが融合した形になるでしょう。
受注の電話センターも、発注管理をする仕入れ担当者も、荷物を受け入れる物流担当も、システムの担当者も、物流に関わるあらゆる人がロボットに置き換わります。ロボットは、対話型インターフェースを持ち、顧客の質問やクレームを処理しながら、課題の抽出や改善を検討し、生産性や効率、利益を最大限に高める計算を行います。
ECショップからの情報をリアルタイムで処理しながら、船やトラックの情報、工場からの出荷情報、天気、交通などあらゆる物流に関する情報を処理します。正確な情報と最高の効率を実現する配置や処理を行い対応します。出荷情報から工場の生産状況管理まで連動するようになります。
自動運転に対応して配送車のネットワークが形成され、すべての配送も自動化されます。配送車からの配達も自立型ロボットやドローンが対応するでしょう。物流のシームレス化も実現します。
人間はアウトプットされた成果物だけを見るようになるかもしれません。と考えると、非常に寂しい気持ちになります。実際にはそこまで発達しないでしょう。
物流倉庫の生き残りは自動化やネットワーク化の対応になる
多くの部分は自動化され、ネットワークで接続されることに間違いはありません。かならず実現する未来です。これからの10年20年は、物流倉庫の自動化やネットワーク化の対応をいかに進めることができるかで、事業の存続のカギになります。IOTから自動化倉庫まで、将来を見据えた最新の物流センターの構築・改善を考えてゆく必要があります。